<   2007年 07月 ( 3 )   > この月の画像一覧

ボルベール


ーママ、話したいことがヤマほどあるの。ー


e0110110_019398.jpg
☆cast--------------------------------------
ペネロペ・クルス
カルメン・マウラ
ローラ・ドゥエナス
フランカ・ポルティロ
ヨハナ・コボ

☆crew------------------------------------
監督:脚本:ペドロ・アルモドバル





☆ストーリー------------------------------------

 失業中の夫と15歳の一人娘パウラを養うため、せわしなく働くライムンダ。明るくたくましい彼女にも、10代の頃、確執のあった母がそのまま父と一緒に火事で亡くなってしまうという苦い過去があった。そんなある日、夫がパウラに関係を迫り、抵抗したパウラに刺し殺されてしまう。ライムンダは愛娘を守りたい一心で、夫の死体の処理に奔走、事件の隠蔽を図る。そのさなか、今度は故郷ラ・マンチャに住む伯母の急死の報せが。ライムンダの姉ソーレが葬儀へ駆けつけたところ、彼女はそこで死んだはずの母イレネの姿を見掛けたという奇妙な噂を耳にするのだったが…。

e0110110_0194548.jpge0110110_020268.jpg








☆感想----------------------------------------

 鮮やかな原色を多様した独特の色彩が印象的なペドロ・アルモドバル監督。そんな彼の最新作は、「オール・アバウト・マイ・マザー」で起用したペネロぺ・クルスを再び迎え入れ、カンヌ映画祭で最優秀脚本賞と最優秀女優賞を受賞した女性への讃歌に溢れたヒューマンドラマ。

 両親を亡くし、失業中の夫と娘の為に毎日働き詰めのライムンダ。そんなある日、義理の父親である夫が、娘に関係を迫り刺殺されるという事件が起こる。必死で隠蔽工作を図るライムンダには、娘にも話していないある秘密があった。それは、死んだはずのライムンダの母親マウラが現れたことにより序所にあきらかになっていく・・・。

 人は、生きていく為に、時に罪深く、時に美しい。ライムンダや彼女の母親マウラが犯した過ちの是非は別として、この映画は、生きる為に人が日々行っている業のようなものを描き出している。「生きていく」ということは、きれい事ばかりではなく、愚かさもまた「生きていく」ことの一部なのだ。全てを包み込むような空気感が、重いテーマに爽やかさを与え、生きるということの原点を考えさせられる作品に仕上がっている。

 ハリウッド作品では、いまいち影の薄いペネロペ。この映画での彼女は、女性としても母親としてもたくましく、情熱的で魅力に溢れている。やはり、女優は良い作品と監督があって、活かされるものなのだろうか。
   
 正直、アルモドバル作品が苦手な人も多いかと思うが、ダークな要素の中に、笑いをちりばめた快作に仕上がっているので、わりと入っていきやすいハズ。どこまでもたくましく、ポジティブな女性達の生き方に、ちょっとだけ元気が沸いてくること間違いなしの作品。

 

♪ pick up song ♪--------------------------------------------------------------------------

e0110110_0243032.jpgVolver [Original Soundtrack]
Volver / Estrella Morente
 劇中、ライムンダが歌うこの曲は、カルロス・ガルデルのタンゴ。実際にペネロペが歌ってはいないのだけど、この為に口パクの練習をしたとか、しないとか。

ブログランキング・にほんブログ村へ

人気blogランキングへ
[PR]
by mi-ai-you-me | 2007-07-30 00:25 | ハ行

フリーダム・ライターズ


ー昨日までの涙が、インクになる。ー


e0110110_2394463.jpg
☆cast--------------------------------------
ヒラリー・スワンク
パトリック・デンプシー
スコット・グレン
イメルダ・スタウントン
マリオ

☆crew------------------------------------
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
原作:フリーダム・ライターズ




☆ストーリー------------------------------------

  物語は1994年、ロス暴動直後のロサンゼルス郊外。人種が激しく対立し、ドラッグとナイフと銃がはびこるウィルソン公立高校で始まる。荒れ果てた教室では授業もままならず、ほとんどの教師たちは生徒を見捨てていた。しかし、新任国語教師エリン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク)だけは彼らを信じ、お互いを憎みあう生徒たち全員に自費でノートを買い与え、自分たちの本当の気持ちを書くようさとす。最初は抵抗する生徒たちだが、想いをつづることで自分と向き合い始め、次第に荒れた教室に変化が生まれていく・・・。

e0110110_23102555.jpge0110110_23104285.jpg








☆感想----------------------------------------

 2度のアカデミー主演女優賞に輝いたヒラリー・スワンクの最新作は、実在の英語教師とその生徒達による同名の原作を基にした感動の物語。
 
 人生を変えてしまうほどの出会い。それは誰にでもあるようで、実はとても幸運なこと。

 この物語に出てくる生徒達は、人種も家庭環境も様々。ほとんどの生徒が、犯罪と背中合わせに近い過酷な状況にあり、明日への希望すら見い出せないでいる中、彼らに全力でぶつかり、自信を与えることで、自分を信じ、あきらめずに挑戦し続けることを教えるエリン。「犯罪者として弁護する前に子供たちを救いたい」という気持ちから、弁護士から念願の教師になった彼女は、教材を買ったり、社会科見学に連れて行く為に、バイトを2つも掛け持ちしながら、生徒達に愛情を捧げ続ける。そんな彼女の行為に賛同して、地元の教育委員会や企業が動き、教育の場自体も大きく変化をしていくのだが、もちろん全ての人が理解をしめしたわけではない。彼女のやり方に反発する同僚の教師との軋轢、夫との離婚など、多くの犠牲を払いながらも、彼女は教師という仕事に情熱を注いでいくのであった。
 
 ひねくれた物の見方をする人なら、単なる自己満足なのでは?と思うかもしれない。しかし、例えそうであっても、これだけ多くの生徒達に生きる希望を与えたのであれば、彼女の行った授業はやはり大きな意味があったことに間違いない。

 学ぶことで自信を持ち、人に心を開くことで、その相手を理解することを知った生徒たち。彼らなら、エリンや仲間たちに守られた「教室」というシェルターから卒業して、また過酷な現実に戻ることになっても、きっと未来の自分のためにチャレンジすることをやめることはないだろう。
 
 性同一障害者、女性ボクサーといった難しい役を演じることの多いヒラリー・スワンクが、今回は、芯は強いながらも、女性として妻として仕事と家庭の間で揺れ動く部分も持ち合わせた等身大の女性を好演。スタッフのほとんどが「エリン・ブロコビッチ」の制作に携わってたというから、なんとなく納得。
 
 変化をするための勇気を持つ。その大切さを教えてくれる爽やかで、グッとくる感動作。涙腺の弱い方、ハンカチ持参でどうぞ。 


♪ pick up song ♪--------------------------------------------------------------------------

e0110110_23291956.jpgFreedom Writers
hip-hop horray /Naughty by Nature
 hey!ho!でおなじみのこの曲は、劇中で使用。他にも、2-pacやMontell Jordanなど懐かしめhip-hopが盛りだくさん。曲の使い方といい、話の内容といい、ミシェル・ファイファーの「デンジャラス・マインド」に酷似してる気がしないでもないのだけど・・・。

ブログランキング・にほんブログ村へ

人気blogランキングへ
[PR]
by mi-ai-you-me | 2007-07-22 23:29 | ハ行

サイドカーに犬


ーあの夏、ヨーコさんが教えてくれたこと。
   コーラと清志郎と 思い切り笑うこと。ー



e0110110_065176.jpg
☆cast--------------------------------------
竹内 結子
古田 新太
松本 花奈
谷山 毅
ミムラ
鈴木 砂羽
 
☆crew------------------------------------
監督:根岸 吉太郎
原作:長嶋 有



☆ストーリー------------------------------------

 不動産会社に勤務する薫(ミムラ)。彼女は久々に弟に会い、披露宴の招待状をもらう。両親が離婚したことで離れて暮らしていた姉弟。彼女が思い出すのは、その離婚の直前、20年前の夏の日の出来事だった。その時、薫(松本 花奈)は小学校4年生。夏休みが始まる前日に母親(鈴木 砂羽)は突然家を出て行き、父親(古田 新太)と弟との暮らしの中にある女性がやって来る。
その女性の名前はヨーコさん(竹内 結子)。彼女は父親に頼まれ、薫たちの食事の面倒などをみるためにやって来たのだった。タバコはスパスパ吸うし、つっけんどんとしてて、強いヨーコさんは麦チョコを山ほど買ってくれたことで、薫と弟に強烈な印象を与える。そんなヨーコさんに薫は興味を抱き、自然と引き寄せられていく。


e0110110_073537.jpge0110110_082648.jpg








☆感想----------------------------------------
 
 直木賞作家・長嶋有のデビュー作を、「雪に願うこと」で各映画賞を総ナメにした根岸吉太郎が映画化。
 
 20年前、小学4年生だった薫の夏休みは、母の家出という衝撃的な出来事で幕を開けた。その代わりに家にやって来たのは、ヨーコさんという豪快で自由奔放な女性。彼女の出現によって、ちょっぴり刺激的で、忘れることのできない夏の日が始まろうとしていた・・・。
 
 コーラは歯が溶けるから飲んじゃダメ。おやつの麦チョコは少しだけ。そんな言いつけをきちんと守る薫にとって、大人(特に母親)とはいつでも正しい方向へと導いてくれる存在だったに違いない。だからこそ、ヨーコという豪快で型破りな女性が現れた時、それまで出会ったことのないタイプの大人の彼女に興味を持ち、戸惑いながらも自然と惹き付けられていったのだろう。そんな薫に対して、いつでも対等な立場で接し、彼女の思慮深さに「尊敬する。」とまで言ってしまうヨーコ。サバサバしていて芯が強いのに、決して自分の考えは押し付けない。彼女の凛とした生き方に、自分もこうありたいと思う女性もきっと多いのでは?
 
 竹内結子がこれまで演じたキャラクターとはちょっと違った激しくも弱い魅力的な女性を好演。子供時代の薫を演じた松本花奈ちゃんが時より見せる戸惑いやはにかんだ表情は、子供の頃、初めて大人の世界を垣間見たあの時のなんともいえない感覚を思い出させてくれる。
 
 「嫌いなものは好きになれるのに、好きなものを嫌いになるのは難しい。」

 どんなに自由で、どんなに強いヨーコでも、人の気持ちまで自由にはできない。それでも、その場所が自分を必要としていないのならば、前へ前へと自転車を走らせていく彼女の姿に、大人になった薫同様、観ている自分もちょっぴり勇気づけられてしまう。せつなくも爽やかで、今の季節にぴったりな作品。


♪ pick up song ♪--------------------------------------------------------------------------

e0110110_0153346.jpgMy Generation/Understand
Understand /YUI
 映画の内容や、景色ともぴったりで、エンドロールに流れるこの曲は、この映画の為に書き下ろされたYUIのアコースティックナンバー。


ブログランキング・にほんブログ村へ

人気blogランキングへ
[PR]
by mi-ai-you-me | 2007-07-02 00:21 | サ行