カテゴリ:ハ行( 5 )

ボルベール


ーママ、話したいことがヤマほどあるの。ー


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☆cast--------------------------------------
ペネロペ・クルス
カルメン・マウラ
ローラ・ドゥエナス
フランカ・ポルティロ
ヨハナ・コボ

☆crew------------------------------------
監督:脚本:ペドロ・アルモドバル





☆ストーリー------------------------------------

 失業中の夫と15歳の一人娘パウラを養うため、せわしなく働くライムンダ。明るくたくましい彼女にも、10代の頃、確執のあった母がそのまま父と一緒に火事で亡くなってしまうという苦い過去があった。そんなある日、夫がパウラに関係を迫り、抵抗したパウラに刺し殺されてしまう。ライムンダは愛娘を守りたい一心で、夫の死体の処理に奔走、事件の隠蔽を図る。そのさなか、今度は故郷ラ・マンチャに住む伯母の急死の報せが。ライムンダの姉ソーレが葬儀へ駆けつけたところ、彼女はそこで死んだはずの母イレネの姿を見掛けたという奇妙な噂を耳にするのだったが…。

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☆感想----------------------------------------

 鮮やかな原色を多様した独特の色彩が印象的なペドロ・アルモドバル監督。そんな彼の最新作は、「オール・アバウト・マイ・マザー」で起用したペネロぺ・クルスを再び迎え入れ、カンヌ映画祭で最優秀脚本賞と最優秀女優賞を受賞した女性への讃歌に溢れたヒューマンドラマ。

 両親を亡くし、失業中の夫と娘の為に毎日働き詰めのライムンダ。そんなある日、義理の父親である夫が、娘に関係を迫り刺殺されるという事件が起こる。必死で隠蔽工作を図るライムンダには、娘にも話していないある秘密があった。それは、死んだはずのライムンダの母親マウラが現れたことにより序所にあきらかになっていく・・・。

 人は、生きていく為に、時に罪深く、時に美しい。ライムンダや彼女の母親マウラが犯した過ちの是非は別として、この映画は、生きる為に人が日々行っている業のようなものを描き出している。「生きていく」ということは、きれい事ばかりではなく、愚かさもまた「生きていく」ことの一部なのだ。全てを包み込むような空気感が、重いテーマに爽やかさを与え、生きるということの原点を考えさせられる作品に仕上がっている。

 ハリウッド作品では、いまいち影の薄いペネロペ。この映画での彼女は、女性としても母親としてもたくましく、情熱的で魅力に溢れている。やはり、女優は良い作品と監督があって、活かされるものなのだろうか。
   
 正直、アルモドバル作品が苦手な人も多いかと思うが、ダークな要素の中に、笑いをちりばめた快作に仕上がっているので、わりと入っていきやすいハズ。どこまでもたくましく、ポジティブな女性達の生き方に、ちょっとだけ元気が沸いてくること間違いなしの作品。

 

♪ pick up song ♪--------------------------------------------------------------------------

e0110110_0243032.jpgVolver [Original Soundtrack]
Volver / Estrella Morente
 劇中、ライムンダが歌うこの曲は、カルロス・ガルデルのタンゴ。実際にペネロペが歌ってはいないのだけど、この為に口パクの練習をしたとか、しないとか。

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by mi-ai-you-me | 2007-07-30 00:25 | ハ行

フリーダム・ライターズ


ー昨日までの涙が、インクになる。ー


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☆cast--------------------------------------
ヒラリー・スワンク
パトリック・デンプシー
スコット・グレン
イメルダ・スタウントン
マリオ

☆crew------------------------------------
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
原作:フリーダム・ライターズ




☆ストーリー------------------------------------

  物語は1994年、ロス暴動直後のロサンゼルス郊外。人種が激しく対立し、ドラッグとナイフと銃がはびこるウィルソン公立高校で始まる。荒れ果てた教室では授業もままならず、ほとんどの教師たちは生徒を見捨てていた。しかし、新任国語教師エリン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク)だけは彼らを信じ、お互いを憎みあう生徒たち全員に自費でノートを買い与え、自分たちの本当の気持ちを書くようさとす。最初は抵抗する生徒たちだが、想いをつづることで自分と向き合い始め、次第に荒れた教室に変化が生まれていく・・・。

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☆感想----------------------------------------

 2度のアカデミー主演女優賞に輝いたヒラリー・スワンクの最新作は、実在の英語教師とその生徒達による同名の原作を基にした感動の物語。
 
 人生を変えてしまうほどの出会い。それは誰にでもあるようで、実はとても幸運なこと。

 この物語に出てくる生徒達は、人種も家庭環境も様々。ほとんどの生徒が、犯罪と背中合わせに近い過酷な状況にあり、明日への希望すら見い出せないでいる中、彼らに全力でぶつかり、自信を与えることで、自分を信じ、あきらめずに挑戦し続けることを教えるエリン。「犯罪者として弁護する前に子供たちを救いたい」という気持ちから、弁護士から念願の教師になった彼女は、教材を買ったり、社会科見学に連れて行く為に、バイトを2つも掛け持ちしながら、生徒達に愛情を捧げ続ける。そんな彼女の行為に賛同して、地元の教育委員会や企業が動き、教育の場自体も大きく変化をしていくのだが、もちろん全ての人が理解をしめしたわけではない。彼女のやり方に反発する同僚の教師との軋轢、夫との離婚など、多くの犠牲を払いながらも、彼女は教師という仕事に情熱を注いでいくのであった。
 
 ひねくれた物の見方をする人なら、単なる自己満足なのでは?と思うかもしれない。しかし、例えそうであっても、これだけ多くの生徒達に生きる希望を与えたのであれば、彼女の行った授業はやはり大きな意味があったことに間違いない。

 学ぶことで自信を持ち、人に心を開くことで、その相手を理解することを知った生徒たち。彼らなら、エリンや仲間たちに守られた「教室」というシェルターから卒業して、また過酷な現実に戻ることになっても、きっと未来の自分のためにチャレンジすることをやめることはないだろう。
 
 性同一障害者、女性ボクサーといった難しい役を演じることの多いヒラリー・スワンクが、今回は、芯は強いながらも、女性として妻として仕事と家庭の間で揺れ動く部分も持ち合わせた等身大の女性を好演。スタッフのほとんどが「エリン・ブロコビッチ」の制作に携わってたというから、なんとなく納得。
 
 変化をするための勇気を持つ。その大切さを教えてくれる爽やかで、グッとくる感動作。涙腺の弱い方、ハンカチ持参でどうぞ。 


♪ pick up song ♪--------------------------------------------------------------------------

e0110110_23291956.jpgFreedom Writers
hip-hop horray /Naughty by Nature
 hey!ho!でおなじみのこの曲は、劇中で使用。他にも、2-pacやMontell Jordanなど懐かしめhip-hopが盛りだくさん。曲の使い方といい、話の内容といい、ミシェル・ファイファーの「デンジャラス・マインド」に酷似してる気がしないでもないのだけど・・・。

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by mi-ai-you-me | 2007-07-22 23:29 | ハ行

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ


ーやっぱお姉ちゃんは、最高に面白いよ。ー


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☆cast--------------------------------------
佐藤 江梨子
佐津川 愛美
永作 博美
永瀬 正敏

☆crew------------------------------------
監督:吉田 大八
原作:本谷 有希子





☆ストーリー------------------------------------

 両親の訃報を受け、東京から田舎に戻って来た姉・澄伽(佐藤 江梨子)。女優を目指して上京したが、実は自意識過剰な勘違い女。そんな姉を題材にホラー漫画を描いて家族を町中の笑いモノにしたが為に、鬱屈とした日々を送る妹・清深(佐津川 愛美)。その義理の兄(永瀬 正敏)と兄嫁(永作 博美)も巻き込んだ、姉の帰省から始まる可笑しくて壮絶な姉妹バトルが今、幕を開ける!!

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☆感想----------------------------------------
 
 「劇団・本谷有希子」を率い、女優、作家、演出家とマルチな活動を繰り広げている本谷有希子。その代表作でもあり、戯曲や小説化もされている今作品をCM界でキャリアの長い吉田大八がメガホンをとり映画化。
 
 自信過剰で傲慢な姉・澄伽と、彼女に怯えながらも実はしたたかな妹・清深。その二人の板挟みになりながらも、ある事情から澄伽に強い態度を取れない義兄とウザイ程に超お人好しな兄嫁。そんな腑抜け揃いの家族が織りなす壮絶なまでのバトルが、ブラックユーモアたっぷりに描かれている。
 
 女優になれない事を、妹や、環境のせいにして、自分は特別な人間だと信じて止まない澄伽。正直、友達にはしたくないけど、嫌なヤツとも思えない。誰もが自分の中に持つエゴを丸出しにして生きる彼女には、見ていて気持ちの良ささえ感じると共に、彼女に虐げられ弱者のように見えてた妹の清深がラストで見せる本性にゾクっとさせられる。携帯の電波も届かないような片田舎が舞台の為、まるで金田一シリーズのようなある種独特の空気感が漂っているが、実は描かれているのは、どこにでもある家族の日常。もちろんここまで複雑ではないにしても、どこの家もいろんな事情を抱えているのがあたりまえなワケで、そんな人間たちの中で、一見一番まともで悩みがなさそうに見える兄嫁が逆に異質に見えるのがおもしろい。
 
 本谷有希子の文章から感じられる少しウェットで、リアリティのある世界観を期待すると、あまりに単純明快であっけらかんと仕上げてあるので、少し気が抜けてしまうのだけど、嫌悪感を抱かない程度のブラックなユーモアが満載で、最後まで小笑いしながら楽しめる作品になっている。6割くらいは彼女のおかげと言っても過言じゃないくらいおもしろすぎる永作博美の演技にも注目!
 

♪ pick up song ♪--------------------------------------------------------------------------

e0110110_295080.jpgとび魚のバタフライ
世界が終わる夜に /チャットモンチー
 脱力感のある外見とは裏腹にかなりパンチの効いた音を聞かせてくれるガールズバンド。映画のラストを飾るこの曲は、試写の際にナマで聴くことができたのだけど、かなりオススメ!

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by mi-ai-you-me | 2007-06-01 00:38 | ハ行

バベル


ー私たちは未だ、つながることができずにいる・・・。ー


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☆cast--------------------------------------
ブラッド・ピット
ケイト・ブランシェット
ガエル・ガルシア・ベルナル
役所広司
菊池凛子

☆crew------------------------------------
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリ    トゥ




☆ストーリー------------------------------------

 モロッコを旅するリチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)。壊れかけた夫婦の絆を取り戻すため、二人の子供をメキシコ人の子守りに託し、遥々アメリカからやってきた彼らを、悲劇は突然に襲った。観光バスでの移動中に、どこからか放たれた銃弾が、スーザンの肩を打ち抜いたのだ。瀕死の重傷を負った彼女を救う為、奔走するリチャード。しかし、言葉も通じず、アメリカ政府の対応も遅れるなか、彼の苛立ちは限界に達していた・・・。
 同じころ東京では、聴覚に障害を持った女子高生のチエコ(菊池凛子)が、満たされることのない毎日に苛立ちを感じ、無軌道な日々を送っていた。ある日、そんな彼女の元に刑事たちが訪れる。彼女の父親(役所広司)がかつて所有していた銃が、遥か遠いモロッコでの殺人事件に使用されたというのだ・・・。
 モロッコ、メキシコ、東京、様々な人々が絡み合い、やがてつながる彼らの運命とはー?

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☆感想----------------------------------------

 それぞれの国のそれぞれの人々が複雑に絡み合い、やがてひとつになるこの物語。描かれる時間軸も順番通りというワケではないので、観る人によっては少し難解かもしれないけど、次の展開が読めない分、最後まで引き込まれてしまう。
 
 かつて、人々は一つの言語を話すことで繋がっていた。しかし、天まで昇る塔(バベルの塔)を建ようとしたことが神の知るところとなり、怒った神は、人間たちに多種多様な言葉を与えることで、お互いを理解できないようにしてしまった。
 
 世界中に様々な言葉がある由来を示す、この逸話。映画の中でも、アメリカ人の夫婦が旅先のモロッコで、聴覚の障害を持った少女が日常の中で、言葉が通じず意思の疎通がうまく図れないもどかしさが描かれている。しかし、根底にあるのは、言葉というよりは、もっと深い意味合いでの心のすれ違い。例えば、ある事情により絆が壊れてしまったアメリカ人夫婦のように、娘の苛立を、父親の苦悩を理解できない東京の親子のように、言語は同じでもお互いを分かり合えないでいる人々。同じ行為、同じ物に対しても、その人の生き方や、文化、環境によって、捉え方は様々。そんな違いから生まれるお互いへの先入観が、人々の理解を隔てているのではないのだろうか? 
 
 聖書をベースにしてあるので、いまいち難しく、全編を通して、人々の生活がリアルに描かれているせいか、希望を残したラストすらも、どこか痛々しい。
 
 個人的には、イニャリトゥ監督をもっても、性を描く時は制服の女子高生なんだ・・・。というのが、正直なところ。聴覚の障害や、母親の自殺というだけでも、彼女の内面の苛立ちや複雑さは表せたように思えるのだけど、さらに思春期特有の不安定さという要素もこの役には必要だったのかな?
 
 演じた菊池凛子の演技は、評判通り、陰と陽を持ち合わせた複雑なキャラクターを見事に演じきっていたけど、メキシコ人の子守りや、モロッコの兄弟程、強い印象はなかったようにも思われた。
 
 答えのでない問題を投げかけられたような、複雑な後味を残す作品。

♪ pick up song ♪--------------------------------------------------------------------------

e0110110_19502293.jpgバベル-オリジナル・サウンドトラック
メドレー: 美貌の青空/坂本龍一
 壮大な舞台にぴったりのこのスコア。サントラ自体は、藤井隆や、リップス・ライムなど意外な選曲を含む、バラエティー溢れる内容。
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by mi-ai-you-me | 2007-05-05 19:51 | ハ行

プリティ・ヘレン

      
ー1番大切なもの、見つけた。ー


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☆cast--------------------------------------
ケイト・ハドソン
ジョン・コーベット
ジョーン・キューザック
ヘクター・エリゾンド

☆crew------------------------------------
監督:ゲイリー・マーシャル
脚本:パトリック・J・クリフトン
   ベス・リガッツイオ




☆ストーリー------------------------------------

 ヘレンは、NYのモデル事務所で働く敏腕エージェント。仕事も恋も思いのままに、自由なシングルライフを満喫中。そんなある日、3人姉妹の一番上の姉夫婦が交通事故で他界。姉の遺言によって、3人の子供たちの面倒をヘレンが任されることに。華やかな世界から一点、子供達の子育て中心の生活で、気ままな生活と仕事を失うヘレン。そんな彼女を見守ってくれたのは、子供達の先生でもあるダンだった。これまでとは違う生活を送る中で、ヘレンが気付いたこととは?そして彼女が選んだ人生とは?

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☆感想----------------------------------------

 「プリティ・ウーマン」のメガヒット以来、ゲイリー・マーシャルの映画には、どーしても「プリティ〜」という冠が外せないみたいで、今回も邦題はコレ。
 
 男女問わず、仕事が上手くいっていて、お金がそこそこあって、隣にやさしい恋人がいたら、今の自由な生活がずっと続けばいいのにぃ!と、ほとんどの人が思うだろう。仕事はちゃんとやっているワケだし、プライベートぐらい好きにお金を使って、責任も束縛もない楽しい時間を過ごしたい。主人公のヘレンもそんなシングルライフを満喫するキャリアウーマン。昼は、華やかな職場で働き、夜はパーティーガールのごとくクラブで遊びまくる毎日。そんな彼女が、事故で亡くなった長姉夫婦の遺言で、突然3人の子供の母親になってしまったのだから、さあ大変! 全てが子供中心の生活となり、キャリアもプライベートも失う始末。それでも、へこたれずに、初めて自分の為ではなく誰かの為に目の前の壁を突破していこうとするヘレンの姿には、本当の意味での大人への成長を見せられたような気がする。
 
 彼女をやさしく見守る存在として登場するのが、子供達の先生でもあるダンと、すぐ上の姉ジェニー。ジェニーは、既に結婚して子供もいる自他共に認めるスーパーママ。ヘレンよりずっと適正があるのに、子供達を任されず、最初は複雑な思いを抱くのだけど、やがて彼女の成長を認めるようになっていく。
 
 責任を負い逃げ場のない状況にあっても、そこから自らの人生を掴み取っていくヘレンの姿を観ていると、なんだかこっちまで勇気と元気をもらったような気分になってしまう。演じるのは、私も個人的に大好きなケイト・ハドソン。今やロマコメの女王といってもいいくらい、このテの作品にはかかせない存在で、今回も彼女らしいドタバタ感と顔一杯の笑顔がなんともキュート☆
 
 原題の「Raising Helen」の文字通り、子育てしながら、成長していく女の子を描いた、爽やかで心あったまる作品。 


♪ pick up song  ♪-------------------------------------------------------------------------

e0110110_0402021.jpgTestimony
Thinking Over / Dana Glover
 ヘレンがこれからの人生について葛藤するシーンで流れ、サントラにも入っているこの曲は、ダナ・グローヴァーのデビューアルバムからの1曲。
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by mi-ai-you-me | 2007-02-21 23:24 | ハ行