2007年 05月 05日 ( 1 )

バベル


ー私たちは未だ、つながることができずにいる・・・。ー


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☆cast--------------------------------------
ブラッド・ピット
ケイト・ブランシェット
ガエル・ガルシア・ベルナル
役所広司
菊池凛子

☆crew------------------------------------
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリ    トゥ




☆ストーリー------------------------------------

 モロッコを旅するリチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)。壊れかけた夫婦の絆を取り戻すため、二人の子供をメキシコ人の子守りに託し、遥々アメリカからやってきた彼らを、悲劇は突然に襲った。観光バスでの移動中に、どこからか放たれた銃弾が、スーザンの肩を打ち抜いたのだ。瀕死の重傷を負った彼女を救う為、奔走するリチャード。しかし、言葉も通じず、アメリカ政府の対応も遅れるなか、彼の苛立ちは限界に達していた・・・。
 同じころ東京では、聴覚に障害を持った女子高生のチエコ(菊池凛子)が、満たされることのない毎日に苛立ちを感じ、無軌道な日々を送っていた。ある日、そんな彼女の元に刑事たちが訪れる。彼女の父親(役所広司)がかつて所有していた銃が、遥か遠いモロッコでの殺人事件に使用されたというのだ・・・。
 モロッコ、メキシコ、東京、様々な人々が絡み合い、やがてつながる彼らの運命とはー?

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☆感想----------------------------------------

 それぞれの国のそれぞれの人々が複雑に絡み合い、やがてひとつになるこの物語。描かれる時間軸も順番通りというワケではないので、観る人によっては少し難解かもしれないけど、次の展開が読めない分、最後まで引き込まれてしまう。
 
 かつて、人々は一つの言語を話すことで繋がっていた。しかし、天まで昇る塔(バベルの塔)を建ようとしたことが神の知るところとなり、怒った神は、人間たちに多種多様な言葉を与えることで、お互いを理解できないようにしてしまった。
 
 世界中に様々な言葉がある由来を示す、この逸話。映画の中でも、アメリカ人の夫婦が旅先のモロッコで、聴覚の障害を持った少女が日常の中で、言葉が通じず意思の疎通がうまく図れないもどかしさが描かれている。しかし、根底にあるのは、言葉というよりは、もっと深い意味合いでの心のすれ違い。例えば、ある事情により絆が壊れてしまったアメリカ人夫婦のように、娘の苛立を、父親の苦悩を理解できない東京の親子のように、言語は同じでもお互いを分かり合えないでいる人々。同じ行為、同じ物に対しても、その人の生き方や、文化、環境によって、捉え方は様々。そんな違いから生まれるお互いへの先入観が、人々の理解を隔てているのではないのだろうか? 
 
 聖書をベースにしてあるので、いまいち難しく、全編を通して、人々の生活がリアルに描かれているせいか、希望を残したラストすらも、どこか痛々しい。
 
 個人的には、イニャリトゥ監督をもっても、性を描く時は制服の女子高生なんだ・・・。というのが、正直なところ。聴覚の障害や、母親の自殺というだけでも、彼女の内面の苛立ちや複雑さは表せたように思えるのだけど、さらに思春期特有の不安定さという要素もこの役には必要だったのかな?
 
 演じた菊池凛子の演技は、評判通り、陰と陽を持ち合わせた複雑なキャラクターを見事に演じきっていたけど、メキシコ人の子守りや、モロッコの兄弟程、強い印象はなかったようにも思われた。
 
 答えのでない問題を投げかけられたような、複雑な後味を残す作品。

♪ pick up song ♪--------------------------------------------------------------------------

e0110110_19502293.jpgバベル-オリジナル・サウンドトラック
メドレー: 美貌の青空/坂本龍一
 壮大な舞台にぴったりのこのスコア。サントラ自体は、藤井隆や、リップス・ライムなど意外な選曲を含む、バラエティー溢れる内容。
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by mi-ai-you-me | 2007-05-05 19:51 | ハ行